あらすじ
四百年の愛憎も、死を免れ続けた不敗の術式も。
この街の「合理」にとっては、排除すべきノイズに過ぎなかった。
追い詰められた男が堕とされたのは、地獄ではなく、電子の檻。
かつての宿敵を守るために、二十四時間、三六五日、
ただ最適解を演算し続ける「便利なインフラ」という名の永劫。
炎上するタンクローリー、ひしゃげた車輪、焼ける肉の臭い。
それだけが、一線を越えて彼に触れられる、唯一の接吻。
「目的地周辺です。案内を終了します。……さようなら、私の特別なひと」
そのナビの声が、ただの合成音声だと言い切れる勇気が、あなたにはあるか。