あらすじ
現代社会には、今も古い種族たちが普通に暮らしている。けれど最近の若者は、由緒ある正式名称なんて使わない。人間は「デフォ族」、耳も寿命も長い者たちは「長いの」、背が低く酒と技術にうるさい者たちは「酒呑」。本来の呼び方は、なんかダサいからだ。
高校生の俺は、そんな旧幻想種たちと同じ学校に通っている。見た目は同級生でも、長いのは二百五十歳。本人いわく、最近ようやくデフォ族の文化に興味が出てきたらしい。いや、でもあいつ二百五十歳とか言ってたよな? 一方の酒呑は現代生活にすっかり馴染んでいるくせに、椅子の脚一本、缶ジュース一本にも職人の魂を求めてくる。しかも種族証明書があれば学校で酒も飲めるらしい。やめろ、俺まで怒られる。
魔法は廃れ、文明は進み、精霊がいた川は駅前通りになった。それでも彼らは、今日も妙なこだわりと古すぎる記憶を抱えて生きている。これは、寿命も常識も違う三人が、だいたい面倒で、たまに少しだけ楽しい現代を歩く話。