あらすじ

序文 十六歳の頃から趣味でよく歌を作った。そして気が付けば十年ほど歌を作っていたと思う。 今にそれらを読み返すと、殆どの歌が見るに耐えないものだ。ただごく稀に面白いものが混じっている。出来の悪い歌の数が多いからこそ、その数に比例して面白いのも幾つかある。 私は自分が三十歳になろうとする記念として、自らがこれまでに作ってきた短歌の中で、人に見せてもまだ恥ずかしくない歌だけを集めてまとめることにした。すると驚くことに歌の数は極端に少なくなってしまった。まるでザルを持って川で宝石探しをしている気分だ。どれだけ熱心に手を動かそうが、ザルの中には砂利しか見つからない。宝石が混じっていれば奇跡の類である。ただその汗の滲むような抽出作業こそが、文芸作品を作る楽しみであることも私は知っている。もちろん私はこれら全ての作業を楽しんだつもりだ。 これから記していく短歌は、とうとう二十代を終わろうとする自分に対する記念品、贈り物だ。私は文芸に対する愛を通じて、これからの短歌を自らの魂に捧げる。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/05/08
  • 現在の作品【歌集】言の葉の庭にて