あらすじ

辺境の村を飛び出した娘・エルナは、母の訃報を受けて十年ぶりに故郷へ戻る。 貧しくて、寒くて、何もない村。 母はいつも村のことばかりで、自分のことは後回しだった。 だからエルナは、母は自分より村を選んだのだと思っていた。 葬儀を終え、家を畳むために地下の貯蔵庫を開けたとき、 そこに並んでいたのは、十年分のスープ瓶だった。 豆の年。 芋の年。 きのこの年。 どの瓶も、エルナが好きだった味で仕込まれていた。 飢えの年にも、雪の深い冬にも、 母はそれを開けなかった。 「帰ってきた時の分だから」 そう言って、十年分の冬をずっと残していたのだと知る。 これは、村を捨てたと思っていた娘が、 遅すぎる帰郷の中で、 母が自分のために残していたぬくもりを知る物語。

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小説を読もう2026/05/08
  • 現在の作品母の葬儀の日、私は地下の貯蔵庫で十年分の冬を見つけた。