あらすじ
日本のフィギュア造形界で「神」と崇められた男、タケシ。
解剖学を極め、大腿直筋の隆起や鎖骨の角度に魂を売った彼は、新作フィギュアを抱えてコミケへ向かう途中にトラックに撥ねられる。
だが、造形への執念は死すら超越した。
目覚めた先は、魔王軍と人類が睨み合う異世界の不戦特区。タケシはそこで、魔法の造形機を駆使したクレーンゲームセンター『拿捕(NOW)』を開店する。
「このフィギュア、筋肉のつき方が本人そのものじゃないか!」
「待て、なぜ私の古傷の位置まで知っている! 変態か!」
あまりに完璧すぎる造形美(と、あまりに極悪な撫でアーム設定)に、人類最強の聖騎士や魔王軍の幹部たちは、本来の任務を忘れて軍資金を溶かしていく。
しかし、タケシのこだわりは止まらない。
ついには「細胞レベルで完璧な肉体」を造り上げた結果、フィギュアに魂が宿り、モデル本人の前で「トイレに行ってきます」と宣言する始末。
これは、美を追求しすぎた解剖学的変態(造形師)が、物理演算と射幸心で世界を支配していく物語。