あらすじ

オーフィス子爵令嬢シェルナの家は、代々「度量衡守《どりょうこうもり》」を務める。王国に流通する全ての分銅・升・物差しは、彼女の家の標準器を写し取って作られる。 婚約者の王太子は、シェルナの仕事を理解しなかった。 「秤の目盛りなど、誰でも読めるだろう」 その通りでございます。読むことは、誰にでもできます。 婚約破棄の夜、シェルナは王宮の収蔵庫から自家の標準分銅を全て持ち帰り、家業を畳んで南方の自由都市へ移った。 半年後、王国の薬は効きすぎて患者を殺し、税の升は重すぎて農民が反乱を起こし、貨幣は微かに軽くなって他国との交易が止まった。 誰も気づかない。なぜなら——基準を測る基準を、彼女が持ち去ったからだ。 「秤は、嘘をつきません。読み手の不誠実を、ただ告発するだけです」

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カクヨム
カクヨム2026/05/08
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