あらすじ
「存在しない恋人がいると嘘をつく虚言癖の令嬢」——華やかな夜会の場で、ルナは第二王子クロードから婚約破棄と社交界追放を言い渡された。傍らで涙ぐむ『聖女』セレナ。嘲笑する貴族たち。誰もが私を哀れな狂人だと蔑む。けれど私は、微笑んでいた。「殿下との婚約を解消できること、光栄に存じます」——ようやく、堂々と『彼』だけを想えるのだから。満月の夜だけ現れる、銀色の髪をした青年。幼い頃から十年間、毎月欠かさず逢瀬を重ねてきた私の本当の想い人。『君だけが僕を見つけてくれた』と囁く彼の正体は、誰も知らない。いいえ——知られてはならなかった。月に囚われた呪いと、隠された王位継承の秘密。断罪された令嬢と「存在しないはず」の王子が紡ぐ、十年越しの純愛ファンタジー。信じ続けた想いは、やがて王国の運命すら変えていく——。