あらすじ
王朝の都・洛鳳(ラクホウ)。
十六歳の少女・藍鈴(ランレイ)には、人に言えない秘密がある。
かつて大貴族の娘として生まれた彼女は、叔父のもとで薬学・化学・毒物学の知識を叩き込まれた。しかし、ある夜、その知識を使って自らの顔を焼いた。
望んで、自分の手で。
醜くただれた顔を白磁の仮面で隠し、今は名もなき下女として生きている。
ところが、叔父の屋敷に薬を届けようとした帰り道、近道をしたせいで後宮の壁内に迷い込み――気づけば人買いの荷車に乗せられていた。
後宮に売られた藍鈴を待っていたのは、毒殺、陰謀、そして解けない謎の数々。
仮面の奥で静かに笑いながら、彼女は今日も薬を調合し、死の匂いを嗅ぎ取る。
「顔が醜いのは仮面で隠せる。でも、嘘とまやかしは、薬には隠せない」