あらすじ
『前頭葉が燃える夜』
眠る寸前になると、主人公の脳は“燃える”。
熱でも頭痛でもない。
前頭葉だけが灼けるように熱を持ち、その瞬間から、現実ではない物語が頭の中へ流れ込んでくる。
煙を吐く街。
壊れていく人形。
毒を飲む執事。
白い部屋。
終わらない高速道路。
それらは単なる夢ではなく、毎晩少しずつ続きを持って現れる“別の世界”だった。
最初は創作の才能だと思っていた主人公だったが、次第に異変が起こり始める。
夢の中で見た傷が現実に残る。
物語の登場人物が、現実の会話に紛れ込む。
そして、燃える感覚が強い夜ほど、自分自身の記憶が削れていく。
「物語を書いている」のか。
それとも「物語に書き換えられている」のか。
眠るたび、現実は少しずつ侵食されていく。
これは、夢と創作の境界が焼き切れた人間の、静かな侵入譚。