あらすじ
これは大正ロマンの時代、一人の少女が横浜山手という当時の異世界に召喚されるお話。
そこで少女は美しいメイド服の魔法にかかり、小さな女の園で恋を知り、運命に翻弄されます。
──立ち並ぶ洋館、エスの香り、そしてメイド服
この物語が生まれたのは、一つの問いからでした。
日本人女性がクラシカルメイド服を着て働く物語はかけないだろうか。そう考えた時、現代のメイドカフェ以外、歴史的な可能性を求めて辿り着いたのが、大正時代の「アマ」でした。
アマは外来語由来と言われますが、外国人家庭で雇われた日本人の女中あるいは侍女(メイド)を指す言葉です。戦前文学に登場しますが、横浜山手や神戸などの外国人居留地でのみ使われた言葉です。(尼や海女ではありません)
大正時代の横浜は先進的な都会でしたが、中でも山手の丘は上海の租界にも似た独自の外国人居留地でした。現在でも散歩をするとその残滓を楽しめますが、当時は白亜の洋館が立ち並び、生活用品も海外から直接持ち込まれていました。
それはまさに日本に出現した異世界というにふさわしい場所です。
そして大正時代の横浜山手といえば、少女文化、つまりエス・今で言う百合の中心地の一つです。
当時の女学校のように閉ざされた女の園で、少女たちはどのように恋を語るのでしょうか。
こうしてメイド服、横浜山手、百合を掛け合わせたら物語が動き出しました。それはどういう結末を迎えるのでしょう。
大正という時代にしか存在しえなかった、小さな女の園の物語。お楽しみいただければ幸いです。
(文中の記述は歴史的に正確であるように努めていますが、演出的な誇張や省略があります)