あらすじ
【作品概要】
台北の猫カフェで「透明人間」のように自分を消して働いていた莉華。彼女の唯一の心の拠り所は、自宅で飼っている三匹の愛猫たちだった。
京都から来た青年・拓海との出会いが、彼女の閉ざされた世界を塗り替えていく。
しかし、海を越えた結婚の先には、世界一厳しいと言われる「日本の動物検疫」という巨大な壁が立ちはだかっていた。三匹の命、言葉の壁、そして異国での孤独。
これは、二千キロの距離と180日の待機期間を経て、一人の女性が「守られるだけの存在」を卒業し、愛する猫のために自分の足で立ち上がるまでの愛と自立の物語。
【あらすじ】
台北の猫カフェで、店長や同僚に無能と見下されながらも、密かに猫の心の代弁者としてSNSで支持を集めていた莉華。
孤独な彼女の帰りを待っているのは、キジトラの天天、糖糖、そして15歳の長老猫・多多(ドゥオドゥオ)の三匹だった。
ある日、店を訪れた日本人・拓海は、莉華の専門的な知識を初めて「才能」として認め、彼女に寄り添う。
二人は恋に落ち、結婚を決意するが、莉華には譲れない条件があった。それは「三匹の愛猫を家族として共に日本へ連れて行くこと」
ここから、2,000キロを越え「180日戦争」が幕を開ける。
狂犬病注射、抗体検査、そして「180日間の待機」。精密なパズルを解くような検疫手続きの最中、環境の変化によるストレスで猫たちは豹変し、莉華の手を血に染める。
さらに追い打ちをかけるように、長老猫・多多に末期の心臓病が発覚。「飛行機に乗せれば、死ぬ」という残酷な現実が突きつけられる。
「全員で日本へ」という夢が崩れた瞬間、莉華は決断する。あの子の命を守るためなら、自分は「猫を捨てた冷酷な飼い主」と蔑まれても構わない。
莉華は断腸の思いで多多を台北の老夫婦に託し、魂の潔白を捨てて、二匹の猫と共に日本へ飛び立つ。
京都での新生活。お箸の単位すらわからず、国籍を理由に職も得られない莉華を待っていたのは、異国での深い孤独だった。
しかし、多多の訃報と共に届いた「あの子は最期まで王様として幸せに生き抜いた」という証拠が、彼女の呪縛を解き放つ。
【物語の結末】
二千キロの彼方で見守る多多の瞳を胸に、莉華は今、新しい名前と誇りを持って、京都の街を歩き出す。