あらすじ
「この世界はね。思っているよりも、ずっと、ずっと暗いの。ずっと暗くて、深くて、とっても、とっても怖いところなんだよ。花がそれを『まだ』知らないだけでね。私たちがなにも知らないままで、たとえば、そうだな。今のっている車の中から外にでたら、あっという間に渦に飲み込まれるみたいにして、真っ暗な闇の中に飲み込まれてしまうような、そんな怖い世界なんだよ」
くすくすと笑いながら夜は言った。
花と夜は同じ名門のお嬢様学校に通っているお嬢様で、年齢は二人とも十五歳だった。
二人とも真っ直ぐで長い美しい黒髪をしていて、猫みたいな大きな瞳と、とても綺麗なお人形のような顔をしていた。
二人の顔はよく似ていて、もしかしたら本当は二人は姉妹なんじゃないかとか、あるいは鏡を見ているみたいに思えることもあった。
そんな二人だけど、二人の雰囲気はまるで違っていた。
一言で言うと、『花は子供で、夜は大人だった』。