あらすじ
子爵令嬢の前園優子は、老若男女問わず息を呑むほどの美しい容姿をしているが、人ならざるもの__妖怪を見ることができることから、周囲から気味悪がられていた。最愛の母が病で死に、遠縁の養父母に引き取られるも、美しい優子をお金儲けの道具として、人形のように扱われる。挙げ句の果て、祝言を控えた前日に婚約者の浮気が発覚。不運な人生に、優子は身も心も疲れ切っていた。そんなある時、森で妖怪に襲われたところを、名門祓い屋一族の魅惑の青年、黒羽青紫に助けられる。優しく、ミステリアスな青紫に優子は心惹かれるも、養父母の陰謀で成金の高場の元へ嫁入りが決まってしまう。
反抗する優子を、養母の小百合は優子が大切にしていた母の形見である桜色のスカーフを無惨にも切り裂き、蔵に閉じ込め、優子を精神的に追い込んでいく。
嫁入りを翌日に控えた夜、何者かにより、前園家の屋敷に火が放たれる。絶体絶命の優子を救ったのは、青紫だった。
優子を屋敷に連れ帰った青紫は、優子に自分の妻になることを提案する。そして、自分は八咫烏の血を引く半妖であることを告げる。驚く優子だったが、青紫を愛していたこと、前園家からの解放を望み、青紫の妻となることを選ぶが、ある事件がきっかえで、優しかった青紫の冷酷な一面を知ることとなり……。
* 第9回富士見ノベル大賞作品用に、原稿を一部変更したものです。