あらすじ
「サラ、悪いがこの結婚は無しだ。婚約は破棄させてもらう」
荘厳な大聖堂がにわかに騒然となった。
夜会やパーティのさなかの出来事ではない、神聖な結婚式の場で、愛の誓の言葉の直前、突然結婚破棄の宣言が飛び出たのだ。
「私は愛のない、偽りの結婚には耐えられない! 私は真実の愛に目覚めたのだ!」
一字一句、流行の戯曲のセリフをなぞり、芝居がかった様子で己の言葉に酔いしれる伯爵令息ダニエル・ミルズ。
彼はまだ知らなかった。
この場に誰がいて、自分が何を言っているのか。
そして、自らが考えもしない結末を迎えるものになろうとは。