あらすじ
毎年、桜の季節になると思い出す――
一緒に歩いた坂道と……川沿いに並ぶ桜
そして、その下で、どうでもいい話をしていた彼のこと。
よく嘘をつく人だった
大げさでもなく、悪意もなく、ただ言いたかったから口にするような――
『くだらない嘘』
最初は呆れていたのに、いつの間にか、それも含めて当たり前になっていた。
少しだけ腹が立って
少しだけ笑ってしまう
―― そんな時間が、ずっと続くと思っていた……
『あの日までは』
昼休みのあと、いつもと同じ調子で、彼は言った
「彼女ができた」
どうせまた嘘だと思った
笑って流すはずだった
でも……その日だけは、違った――
変わらないと思っていた時間の中で――
ひとつだけ本当だった言葉
それが、静かに、確かに―― すべてを変えていく。
これは、桜の下で過ごした――
あの日あの時の青春の記憶。