あらすじ

五十七歳の主人公・修は、三年前の四月に最愛の妻・結衣を亡くして以来、時が止まったような日々を送っていた。ある朝、彼は結衣が遺したシステム手帳を見つける。そこには、九州南端から北海道まで桜前線を追いかける「三千キロの旅」が緻密に計画されていた。「私がいなくなったら、代わりに行って」――その願いに背中を押され、修は独り旅に出る。 旅先で修を待っていたのは、亡き妻による驚くべき「予約」だった。指宿の宿、尾道のカフェ、福島の温泉……各地で手渡される彼女からのメッセージ。結衣は死の淵で、修の写真を各所に送り、一人で旅する彼の未来を優しく演出していたのだ。 変わりゆく北の大地で、かつて愛したディーゼル列車の響きを惜しみつつ、修は最果ての地・根室へと辿り着く。日本で最後に咲くチシマザクラの下で彼を待っていたのは、結衣が遺した最後の贈り物と、再生への祈りだった。桜と共に歩んだ三千キロに及ぶ、贅沢な「お別れの時間」の記録。

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エブリスタ2026/05/06
  • 現在の作品予約された再会 ―― 桜前線三千キロの追伸