あらすじ
東周末年、嬴政が天下統一を果たす前夜、ある小国の廃太子が刺秦の旅へと踏み出した。
彼は本来、極めて臆病な人間であり、その名には「世と争わず」の意が込められていた。だがこの旅では、命を賭して戦わねばならなかった。
天の幸いか、彼は竟に成功した。祖龍は血だまりの中に倒れ、天下混一の道はここに断たれ、神州は二つに裂かれた。
しかし、その報せを聞きつけて駆けつけた秦兵が、彼を幾重にも取り囲んだ。彼は生還の望みがないことを悟ると、宝剣を抜き、喉元に押し当てた……
これは、仮想の華夏大陸を描いた物語であり、中国史にあり得たもう一つの可能性である。
この世の華夏文明は大一統を成し遂げることなく、定められた宿命から逃れ、まったく異なる道を歩み始めた。