あらすじ
「刺繍しかできない姉」。リーネ・アルテア伯爵令嬢は、社交界でそう呼ばれている。
夜ごと屋根裏で布を織り、その布が義妹の名で世に出ていることを、誰も知らない。リーネの糸には母から受け継いだ光が眠っている。その光を人に見せてはいけないと、死んだ母は言った。
だから黙って布を渡す。奪われるままに。
秋の王布選定の儀。リーネの最高傑作が義妹の名で披露された日、突きつけられたのは盗作の冤罪だった。光を見せなければ証す術はない。光を見せれば母の遺言を破ることになる。
けれど母は、あの言葉の続きを残していた。