あらすじ

長崎県・佐世保のスポーツ強豪校。 有馬湊(ありま みなと)は、中学時代まで野球部のエース捕手として活躍していたが、致命的な『イップス』を発症し、グラウンドから逃げ出した。 「湊、また逃げるん?」 幼馴染の痛い言葉から逃避するように辿り着いたのは、校舎の最北端にあるカビ臭い『囲碁・将棋部』。 そこで湊が出会ったのは、窓際で静かに海を見つめるスマートで冷たい先輩――九条凛(くじょう りん)だった。 暇つぶしのつもりで盤に向かった湊は、凛の圧倒的な強さに完膚なきまでに叩きのめされる。 凛もまた、湊と同じ佐賀の出身でありながら、「地方には師匠がいない」「プロの養成機関が遠すぎる」という残酷な壁に絶望し、夢を諦めた元・天才将棋少女だった。 ある日、湊は凛のスマートフォン越しに、一人の少年の現在地を知る。 久々成龍之介(くくなり りゅうのすけ)。 小学生時代、泥だらけで野球をする湊の横で、たった一人将棋盤に向かっていた『あいつ』。彼は今やアマチュアの頂点を極め、強引にプロへの扉をこじ開けようとする絶対王者へと変貌していた。 「俺、明日もグラウンドに行きます。でも、ここにも来ます」 イップスの絶望を抱えたまま、野球への未練と将棋への新たな熱の間で引き裂かれる湊。 彼は『兼部』という最も泥臭く、みっともない道を選ぶ。 才能を潰された元球児と、夢を諦めた氷の先輩。 そして、地方の壁を打ち破った絶対王者の幼馴染。 これは、一度は夢からドロップアウトした敗者たちが、将棋の『プロ編入試験』という最も険しい逆転ルートで己の存在証明を刻み込む――痛くて、青くて、最高に熱い青春譜。

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小説を読もう2026/05/06
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