あらすじ

「……いいか、よく聞け。これは、かつて『静寂の審判者』などと呼ばれた男が、ただ静かに茶を啜り、定年まで生き延びるためだけに足掻く……そんな、取るに足らない記録だ」 俺の名はエドガー・ギルバート・クインシー。 人類最高峰の精神熟達者(マインドマスター)……なんてのは過去の話だ。今の俺は、地下三階の掃き溜めで、埃と禁忌の遺物(ゴミ)を数える窓際部署の主。俺の全知全能は今、職務の隠蔽と、定年退職金の死守のために注がれている。 だが、計算が狂った。……ああ、盛大にな。 焦って結んだ「死ぬまで解除不能」の師弟契約。俺の目の前に現れたのは、深淵を覗く聖女……ではなく、脳内がメロンパン一色で埋まった無能少女・ルナだった。 期限内にこいつを育てなければ、俺たちは二人まとめて再利用(リサイクル)――つまり、処刑。 だが、ルナの奴が口を開けば出てくるのは「お腹空きました、ししょー!」の一言だけ。 ……やれやれ。世界を救う方が、まだマシだったかもしれん。 こうなれば、最後まで化かし通してやるさ。 弟子の無能も、国家の査定も、世界の理(ルール)も……俺の「ズル」で、すべて書き換えてやる。 胃薬はまだあるか? ならば、問題ない。 「立てば芍薬、座れば牡丹、口を開けばメロンパン。 ――ルナ、修行(ズル)の時間だ。そのパン屑を公文書の上にこぼすなと言ったはずだぞ」

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カクヨム
カクヨム2026/05/06
  • 現在の作品世界最強の精神熟達者、解除不能の師弟契約で無能少女を育てることになった俺の終わらない修行の日々