あらすじ

ホテルの名前は覚えていない。 名前を訊こうとしたら、女が遮った。「言わなくていい」 鎖骨に古い傷のある女と、一夜を過ごした。 枕の下に、片方だけのピアスが落ちていた。 捨てればいいのに、内ポケットにしまった。 匿名のまま消えるはずだった。消えてくれれば、よかった。 けれど指は、内ポケットの輪の硬さを覚えていた。 ——名前を知った代わりに、何を失ったのか。 中年男の、終わらない一夜と、その後の沈黙の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/06
  • 現在の作品「文芸・純文学」他は、いい―——匿名のあの夜と、名前を知ってしまった朝のこと