あらすじ
その学園には、ひとつだけ奇妙な規則がある。
――「名前を、正しく呼ぶこと」。
私立・黒識学園。
表向きはただの進学校。
しかしそこでは、生徒の名前、教室の名称、授業の記録――
あらゆる“言葉”が厳密に管理されている。
転入生・神代ユウは、ある日それを破ってしまう。
クラスメイトの名前を、ほんの少しだけ言い間違えた。
その瞬間、
「何か」がズレた。
教室の構造が変わる。
時間が巻き戻る。
存在していたはずの人物が、最初からいなかったことになる。
そしてユウは知る。
この世界は、固定された現実ではない。
それは――
「分岐し続ける樹の一枝」に過ぎない。
学園の地下に存在する「記憶遺跡」。
そこには、あらゆる世界の記録――
偽書と真書、そして“存在しない言葉”が眠っている。
ヒロイン・無名(ななし)は言う。
「名前を与えられた瞬間、すべては弱くなる」
この世界では、
言葉は現実を固定し、
同時に歪める。
観測は分岐を選択し、
理解は真理を劣化させる。
そして無意識の領域では、
すべての論理が崩壊している。
やがてユウは気づく。
この宇宙そのものが――
「たった一つの誤字」だったことに。
だが、その誤字を修正しようとした瞬間、
世界は「存在していなかったもの」へと書き換わる。
これは記録である。
だが真の記録ではない。
読む者によって変質し、
理解した瞬間に崩壊する――
《ネガ=ログス・アーカイヴ》。
そして物語は、
“読むこと”そのものを侵食し始める。