あらすじ
「地球を人間に任せるな――」
西武池袋線と武蔵野線が交差する街、東京都清瀬市・秋津。
一見、平和に見えるこの商店街は、現実のプログラムが最も脆弱な「世界の境界線」だった。
駅前の不二家、中間地点の洋菓子店ロートンヌ、そして新秋津駅へ続く不気味なクランク。その日常のテクスチャを一皮剥げば、そこには八百年前の壇ノ浦で放たれた平家の呪詛と、一三〇〇年前から続く中崎家の血脈が、情報の澱(おり)となって渦巻いている。
路地裏に佇む古道具屋『秋津異世界堂』。
店主・秋津浩仁(あきつ ひろひと)は、父から受け継いだ宿命の遺伝子「ハプロB51」を宿すデバッガーだ。
父・吉浩が昭和十七年の新宿で見せた「一撃」。
上海の霧に消えた亡命ロシア人との悲恋。
そして那須の霊泉で授かった「管理者権限」。
すべてのログをマウントした浩仁は、清瀬の森に鎮座する『宇宙監視センター』と同期し、人類という不完全なOSの廃棄を宣告する。
この世は「オテントサマ」の作り出したシミュレーションゲームに過ぎない。
一八六センチの巨躯を揺らし、男は孤独な聖戦を開始する。
昨日のお前は、今日のお前ではない。
物語のバグが、今、書き換えられる。