あらすじ
大型レジャー施設「夢幻ファンタジア」の夜間清掃班、朝霧海二十八歳。閉園後のラインスイープを毎晩こなし、業務手帳に巡回ルートと死角を地道に書きつける日々。陽キャの先輩・鶴丸の嘲笑に肩をすくめ、自分の仕事に意味を見出せずにいた彼は、ある台風の夜、外柵の点検中に落雷を浴び意識を失う。
目を覚ました先は、魔物の侵略に瀕した小国・リシア王国。剣も魔法も持たない朝霧の手元には、一冊の業務手帳と業務用ライトだけ。物資配置、避難動線、群衆制御――現代では誰にも気づかれない地味な手順が、絶望に瀕した王国を少しずつ立て直していく。
だが彼の前に現れたのは、嫌な先輩と瓜二つの顔をした隣国貴族・ツルム伯爵だった。「お前のような陰気で地味な人間が英雄になれると思うな」――トラウマを抉るその言葉に朝霧は崩れ落ち、王国は史上最大の魔物大波に呑まれる。
最後の希望は、ポケットの中の使い古した業務手帳。閉園後のパークで毎晩繰り返してきた一行の記録が、もうひとつの世界の運命を変えようとしている。
この物語は小説家になろう、カクヨムで掲載されています。