あらすじ
身に覚えのない罪で、すべてを奪われた。
名誉も、家も、八年間の婚約者も。
父は目を伏せたまま、娘を見なかった。
辺境に追放された元公爵令嬢フィーネ。
持ち物はトランクひとつ。
頼れる人は、誰もいない。
けれど彼女には、前世の記憶があった。
法律事務所で書類を読み続けた日々。
証拠の集め方と、論証の組み立て方。
辺境の空き店舗で、万屋を開く。
困りごとなら何でも引き受ける相談所。
最初の依頼は、遺産を奪われた母子だった。
この世界の法を独学で読み解き、弱者の権利を守る。
依頼を解決するたび、町に味方が増えていく。
無愛想な大家だけが、何も言わずに側にいる。
だが依頼の裏に、同じ影が見え隠れする。
偽造された借金。入れ替わった婚約者。消えた税収。
手口は違うのに、すべての糸がひとつの場所に繋がっている。
フィーネ自身の追放もまた、その糸の一本だとしたら。