あらすじ

​物語紹介:未完成のリング ​「いいよ。……乗ってみる?」 ​彼女が500万円で買ってきたのは、伝説の名車「悪魔のZ」―― ……の形をした、土に還る寸前の茶色い鉄の塊だった。 ​絶句する僕をよそに、彼女は聖杯を見つけた冒険家のように目を輝かせる。 それは世間一般の経済観念からすれば「狂気の沙汰」かもしれないけれど、 ボロボロの車体を愛おしそうに撫でる彼女の横顔に、僕は抗いようのない説得力を感じてしまう。 ​カビと埃、そして古い油の匂いが立ち込める車内。 びくともしない重いステアリング。 指先を黒く汚しながら、理想を形にしていく果てしない時間。 ​今はまだ、何も始まっていない。 けれど、この錆びついた鉄の円環(リング)が、いつか本当の「指輪」に変わるその日まで。 ​完成しなくてもいい。 僕はその隣の特等席で、彼女の無謀な夢にどこまでも付き合っていくと決めたんだ。 ​「手伝うよ、俺も。どこまでも」 ​これは、錆びた夢を二人でなおしていく、世界で一番不器用で、一番純粋な「プロポーズ前夜」の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/06
  • 現在の作品​『ステアリングを、指輪に。 ―― 500万円の夢が走り出すまで』