あらすじ
第一王子ルドルフの婚約者だったリーゼ・ファルベルは、王宮の夜会で「骨をいじる気味の悪い女」と罵られ、聖女候補セラフィナを愛する王子から婚約破棄を告げられる。
彼女は泣き崩れる代わりに、慰謝料として王宮の倉に眠る黒い骨を要求した。誰も価値を知らないそれは、かつて国を滅ぼしかけた魔王竜の喉骨。骨や魔導具の芯が発するかすかな音を聞けるリーゼだけが、その正体に気づいていた。
婚約破棄の直後、セラフィナの杖が暴走し、大広間を巻き込む事故が起きる。リーゼは黒い骨を使って被害を防ぐが、王子たちは彼女を呪術師として追い出そうとする。そこへ現れたのは、北の魔物から民を守る辺境侯グレン・ローヴェルだった。
「君の手は呪いの手じゃない。折れたものを、もう一度立たせる手だ」
追放された令嬢は、辺境の壊れた砦と騎士たちを直しながら、自分の工房を作っていく。だが王都の地下では、もっと大きな骨が折れたまま眠っていた。