あらすじ
爆ぜる木の音が、鼓膜を優しく叩いた。
頬をなでる熱に誘われ、重い瞼をゆっくりと持ち上げる。視界の端でゆらゆらと踊るのは、小さな焚き火の火影だった。
(……温かい。俺は、生きてるのか?)
深い泥の中から這い出すような感覚で、体を起こす。
その瞬間、右手に硬い感触が触れた。漆黒の鞘に収まった、一振りの短剣。そして、左のポケットには、布越しに小さな、しかし異質なほど硬い**「一錠の白い錠剤」**が触れていた。
「……ようやく起きたか、葬儀師の小僧」
地を這うような低い声に、肩が跳ねる。
火の向こう側、大きな切り株に腰を下ろしていたのは、鋼の鎧に身を包んだ老人だった。使い込まれた盾を傍らに置き、彫りの深い顔に刻まれた無数の傷跡が、火に照らされて深く陰影を作っている。
「葬儀師、ですか。……俺の、こと?」
「その身なり、その得物。葬儀師でなければ、ただの物好きか狂人だな」
物語はここからはじまる。
この先に待つ未来は作者もまだ知らない。
だって初めて書くから