あらすじ
その言葉は、本当に何も残していないのでしょうか。
「理解した」
「悪意はない」
「問題はない」
そうした言葉は、場を整えるために使われます。
しかし同時に、何かを覆い、何かを見えなくする働きも持っています。
本作は、そうして“見なかったことにされたもの”が、どのように扱われ、どのように残り続けるのかを、静かに記録した短編連作です。
語り手は断定しません。
評価もしません。
ただ、言葉のあとに残った状態だけを提示します。
消えたように見えるもの。
存在しないことにされたもの。
それらは本当に、なかったことになっているのでしょうか。
答えは示されません。
ただ、記録だけが残ります。