あらすじ

将棋が好きだから、プロを目指すのではない。 将棋を終わらせるために、僕はプロ棋士になる。 十四歳。奨励会三段。 誰よりも将棋を憎み、誰よりも将棋を研究している少年がいる。 彼の兄は、かつて奨励会三段リーグまで進みながら、プロ棋士には届かなかった。 それでも兄は、将棋を憎まなかった。 そのことを、少年は今でも許せない。 人の人生を削り、敗者の傷を「いい将棋だった」と飾り、それでもなお人間に愛され続けるもの。 その神話を終わらせるため、少年はAIによる序盤研究で、対局相手の将棋を一つずつ解体していく。 そのための戦法は、先手相掛かり。 彼が読むのは、戦法そのものではない。 相手がその形に何を預け、どこへ戻ろうとするかだ。 AI研究で深く沈めた分岐を武器に、相手が安心して戻る場所を見つけ、その場所ごと盤上の神話を壊していく。 だが、少年の前に、同年代の天才が現れる。 永世名人の息子。 将棋を愛し、将棋に愛されているように見える少年。 得意戦法は角換わり。 将棋を終わらせたい少年と、将棋に応えたい少年。 憎しみで努力する天才と、愛ゆえに努力する天才。 二人は、プロ棋士になるための三段リーグでぶつかる。

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カクヨム
カクヨム2026/05/05
  • 現在の作品将棋を終わらせるため、僕はプロ棋士になる