あらすじ
婚約破棄された——そう、私が仕組んだことですけれど?
王太子レオンハルトに婚約破棄を宣言された夜、公爵令嬢セレスティアは一滴の涙も流さなかった。取り乱しもしなかった。ただ静かに一礼して、大広間を去った。
それもそのはず。これは三年越しの粛清計画の、第一手だったのだから。
王太子の不正に気づいたのは、婚約から一年後のこと。横領、権力の乱用、王命の偽造——腐敗は王国の根まで及んでいた。しかし婚約者という立場では、証拠を握っても手が出せない。ならば答えは一つ。
——婚約を、破棄させればいい。
隣国の使節と協力関係を築き、諜報員を王太子の傍に送り込み、三年かけて証拠を積み上げた。そして婚約破棄という"引き金"を引かせた瞬間、全ての歯車が動き出す。
「人は、奪ったと思った瞬間が一番隙だらけになるのです」
調子に乗った王太子は、自ら墓穴を掘り続けた。
これは捨てられた女の復讐劇ではない。最初から勝っている女の、静かな終幕だ。
「あなたは私を捨てたのではありません。——自分の未来を捨てたのです」