あらすじ
世界最強の精神熟達者(マインドマスター)として名を馳せた
エドガー・ギルバート・クインシーは、
他人の夢に侵食され続ける日々から逃れるため、
自ら“地下三階の掃き溜め部署”へ左遷した。
静寂と薄いお茶だけを糧に、
誰の意識にも触れず、誰の夢も見ず、
定年まで穏やかに過ごす──はずだった。
そんな彼の前に現れたのは、
精神の器だけは規格外なのに、
思考の九割が食べ物で占められた少女・ルナ。
遺物が放つ精神汚染すら意に介さず、
「メロンパンの匂いがします!」と地下倉庫で鼻をひくひくさせる天災。
彼女の無自覚な一言と、
焼きたてメロンパンの幻の匂いが、
ギルの三十七年の人生計画を一瞬で粉砕する。
うっかり結ばれたのは、
解除不能・一生ものの師弟契約(血契)。
互いの感覚が繋がり、空腹まで共有される始末。
静寂を望む男と、食欲に従う少女。
ズレと誤算と胃痛まみれの修行(ズル)の日々が、
ここから始まる。
これは、
“世界最強の諦めの悪い男”と、
“世界一お腹がすいている少女”が、
互いの人生を巻き込みながら歩む、
ちょっとだけ不思議で、やたらと騒がしい師弟物語。
静寂は失われ、胃痛は増え、
メロンパンの匂いだけが、なぜかいつも漂っている。