あらすじ
王都の冷暗所で、十年間。
たった一人で死体を腐らせないよう管理し続けてきた魔法使い。
老朽化した施設はすでに機能しておらず、彼の魔法による“凍結コーティング”によって、かろうじて保たれていた。
だが――
「魔石で管理できるようになった。人間の魔法使いはいらない」
そう言われ、あっさりと解雇。
しかも「どうせ誰でもできる仕事」とまで見下されて。
仕方なく冒険者となった彼は、そこで気づく。
自分の氷魔法が、魔物すら一瞬で“完全凍結”させる規格外の力になっていたことに。
一方その頃、王都では――
彼がいなくなったことで凍結コーティングが崩壊。
魔石だけでは維持できず、死体は腐敗し、大混乱へ。
やがて届く、必死の呼び戻し。
「戻ってきてくれ!」
だが彼は静かに告げる。
「……人間の魔法使いはいらないんですよね?」
無自覚最強の氷魔法使いが、理不尽な職場を去った結果――
すべてが崩壊した話。