あらすじ

オイラは、富士山のふもとで生まれた。 最初に会ったとき、 あの人は少し不思議そうな顔でオイラを見ていた。 それでも――連れて帰ってくれた。 それからの毎日は、 にぎやかで、あたたかくて、 ときどきさみしくて、でもやっぱり楽しかった。 いろんな場所を歩いた。 いろんな人に出会った。 名前を呼ばれるたびに、 オイラはちゃんとここにいるんだと思えた。 やがて、体は少しずつ言うことをきかなくなった。 走ることも、思いきり息をすることも、 だんだん難しくなっていった。 それでも、そばにはいつも、あの人がいた。 透明な箱の中で、 静かな時間を過ごしながら、 オイラは考えていた。 この十年は、どんな時間だったんだろうって。 答えは、きっと難しくない。 オイラは、ただ―― 一緒に生きていた。 それだけで、十分だった。

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小説を読もう2026/05/05
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