あらすじ
王国レジャーホルドでは、どんな真実も、世界台帳に受理されなければ現実を動かせない。
「私は王女を裏切っていない」
処刑台の上で、老騎士アルバート・グレインはそう訴えた。
だが、無罪を示す証拠束は壊れていた。封印は不整。索引は欠落。再演は安定しない。
世界台帳の声である《登記官》は、冷たく告げる。
『|拒理《きょり》』
見習い記録官のリオ・セイブルは、元騎士カイ・ヴァレンとともに、処刑まで残されたわずかな時間で失われた証拠を追う。
地下書庫に眠る欠落索引。
敵の手を渡っても変わらなかった写し札。
王女の寝所に残された影写しの痕。
保護の名で王女の声を奪う隔離命令。
そして、すべてを白紙に戻そうとする白紙卿の影。
真実を知っているだけでは足りない。
泣いても、叫んでも、世界は動かない。
必要なのは、敵の手を渡っても壊れない証拠束。
これは、剣で悪を倒す物語ではない。
真実を未来まで届く形に束ねる、証拠魔法官の物語。