あらすじ

「黙っていないと、ここにいられないから」  ある信託銀行の女性社員がこぼしたこの言葉を、組織診断コンサルタント・宗徹未生は手帳に書き留めた。  三ヶ月間限定の外部相談役として招かれた未生が見たのは、悪意のある誰かではなかった。  女性を守ろうとする善意と、その善意が積み重なってできた、沈黙を最適解にする「構造」だった。  依頼者・桐島菜緒は、二十一年間、何かを待ち続けていた。  部長・田辺和香は、二十四年間、何かを守り続けていた。  そして未生は、六年間、「あの顔」を忘れられずにいた。 「声を上げる資格は、黙ったことがない人間だけにあるのか」  一度だけ逃げた女が、その問いと向き合うとき、会議室の空気が変わる。  これは、正義の物語ではない。  声を上げることを選んだ、普通の女たちの、これかれも続いていく日常の話だ。

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カクヨム
カクヨム2026/05/05
  • 現在の作品【金融お仕事短編小説】沈黙の信託 ~黙らない女たち~