あらすじ
「そのゴブリン聖女を、お前の妻にしてやろうか?」
命を懸けて国を救った聖女マルティカに突きつけられたのは、婚約破棄と嘲笑だった。
だが、それにブチギレたのは護衛の傭兵レツァード。
「あの、クズ王子! アホなのか?」
国も王子も見限った二人は、少しずつ距離を縮めていく。
守られながら力を解放していくマルティカは、本来の美しさを取り戻し――それを誰にも見せたくないと願うレツァードの独占欲も加速していく。
からかい上手で独占欲強めな護衛と、恋に不慣れすぎる聖女の、甘くてじれったい距離感は加速するばかり。
これは虐げられた聖女が不器用すぎる最強の味方と一緒に、幸せを取り戻していく物語。
■マルティカ・マリッシュ(18)
――戦うことを選ばされた聖女
戦地に立つ異端の聖女。
本来は人々を癒し導く存在でありながら、前線で剣を握りゴブリン聖女と蔑まれてきた少女。
優しさと責任感を併せ持つ一方で、「聖女として正しくあろうとする自分」と「一人の人間としての感情」の狭間で揺れ続けている。
他者のために自分を後回しにする癖があり、
それが周囲からは強さとして映るが、実際は誰よりも不安を抱えている。
レツァードと出会い、守られることと愛されることを知り始めるが、それを受け入れていいのか迷い続ける――
■レツァード・フィールド(23)
――すべてを失っても、ただ一人を守る剣
滅びたドライゼル帝国の元部隊長にして、圧倒的な剣技を誇る戦士。
魔王ゾルによって祖国を奪われ、復興と復讐を胸に戦い続けている。
寡黙で不器用、感情表現も得意ではないが、
一度決めたことは曲げない強さを持つ。
マルティカに対しては最初こそ守るべき存在として接していたが、次第に失いたくない人間へと変わっていく。
愛し方は一直線で、危ういほどに重い。
自分の命すら差し出す覚悟で、彼女を守ろうとする。
■カザーク・ヴァルディス(26)
――すべてを手にしたはずの、空虚な王子
ヴァルディス王国の第一王子。
かつてはマルティカの婚約者であったが、その地位と欲望に従い彼女を捨て、妹クリスティーヌと結婚した。
華やかで要領がよく、女性関係にも奔放。
一見すると成功した王子だが、その実態は責任から逃げ続けてきた人物。
マルティカを手放したことを深く理解しておらず、彼女の価値が他国で認められてから、その存在の大きさに気づき始める。
しかし時すでに遅く、彼の選択はすべて失う方向へと進んでいく――