あらすじ
風で生きる山城──「からくり城」。
その主・春姫は、城の底に眠る“風の扉”を見つける。
扉の向こうに広がっていたのは、
異国の町、異国の風、
そして“草の働き”を扱う薬学の理。
迫りくる戦。
人を傷つけずに守るための道を探す春姫は、
異国の薬師ルシアンから学んだ理を、
この国の草と風に合わせて組み直していく。
オトギリソウ、キキョウ、オウレン──
山の草たちが、春姫の手で新たな働きを得ていく。
やがて谷には薬草畑が広がり、
学び舎には若者たちが集まり、
“薬の里”が静かに形を成し始める。
戦を止めるための理は、
いつしか人を生かすための理へと変わり、
春姫の名は後の世に語られることとなる。
これは、
風と理に導かれた女城主の、静かな戦いの物語。
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登場人物
【春姫(はるひめ)】
山間の「からくり城」を継いだ女城主。
風の音を聞き分け、
城の仕掛けとともに生きてきた。
経験と成熟を備え、
争いを避けるための“理”を探し続ける。
異国の理とこの国の風を結び合わせ、
後に「薬の里の始祖」と呼ばれる道を歩み始める。
【宗丸(そうまる)】
春姫より五〜七歳ほど若い近習。
静かで誠実、春姫の理を深く理解する唯一の存在。
若い頃に独学で南蛮語を学び、
扉の向こうの世界でその知識が静かに花開く。
春姫の決断を支え、風の行方を共に見つめる。
【ルシアン】
扉の向こうの異国で出会った南蛮国の薬師。
草の形ではなく“働き”を扱う理を持つ。
多くを語らず、必要なときにだけ手を差し伸べる。
春姫にとって、 異国の理とこの国の風を結ぶ
“静かな導き手”。