あらすじ

就職した年の春、小野遥は家族と登ったことをきっかけに、名前のない山へ何度も足を運ぶようになる。特別な目的はない。ただ登っていると、「生きている」という感覚だけが確かになるからだ。 ある日、登りの途中で出会ったのは、山中で料理をする斉藤という男だった。彼は「味で世界を理解する」と語り、食べることを通して記憶や感情を捉えているという。遥はその考えに戸惑いながらも、不思議と心をほどかれていく。 味は過去や未来までも内包し、人の中に残り続ける——。そんな彼の言葉は、どこか遠く、それでいて確かに自分の内側に触れてくるものだった。 山での出会いを通して、遥は少しずつ、自分の感覚や存在を見つめ直していく。理由も答えもないまま、ただ山へ向かうその足取りの中で、彼女は何を感じ取っていくのか。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2026/05/04
  • 現在の作品また、あの山へ行く