あらすじ
世界有数の港湾国家アルヴァニア王国。
かつて海運と交易で栄えたその国は、王族の浪費、貴族の癒着、終わらない戦争債務によって崩壊寸前だった。
港には船が並ぶのに荷は動かず、兵士には給料が払われず、民は重税に喘ぐ。
それでも王城では舞踏会が続いていた。
そんな国へ突如転移したのは、日本で外資系投資ファンドに勤めていた男、神崎玲人。
彼の手元には、なぜか異世界通貨へ変換された四千億円相当の資産と、契約・信用・市場を見抜く固有スキルがあった。
だが玲人はいきなり金を使わない。
まず港を歩き、酒場で話を聞き、帳簿を読み、この国がなぜ腐ったのかを見抜いていく。
そして知る。
国家を支えていた五つの商会は、無能で落ちぶれたのではない。
王家と貴族に食い潰され、潰されかけていただけだと。
玲人は決断する。
海運商会、倉庫連盟、荷役組合、保険商社、造船工房。
港を動かす五つの心臓を買い戻し、再生させる。
屋敷では孤児と従業員の子供たちを育て、街には雇用を生み、兵士には賃金を払い、民には未来を示す。
剣も魔法も使えない。
だが、契約書一枚で王を詰ませることはできる。
これは、破綻国家を企業再生のように立て直し、やがて独立国家へ変えていく一人の投資家の物語。