あらすじ
先日のお茶会で、殿下の愛する可憐な男爵令嬢が、こともあろうに大公夫人のドレスを踏みつけ、隣国特使の信仰を鼻で笑った。
しかも次期国王たる殿下は彼女を庇い、あろうことか相手を睨みつける始末。
宣戦布告を防ぐため、私は王宮の廊下を走り、絨毯に額をこすりつけて異国の礼で詫び、なんとか報復を「保留」にしてもらった。手にした扇の骨がきしむほどの徒労と絶望を抱えながら。
それなのに数日後、殿下は私を呼び出し「お前は可愛げがない。彼女は俺が守る」と、得意げに婚約破棄を宣言してきた。
「そうですか。では、扉の外でお待ちの特使閣下から、ご自身の力で彼女をしっかりお守りくださいね」
私が合意書にサインし、ストッパーを辞めた瞬間──応接室は地獄と化した。
「待ってくれ!」と無様に泣き叫ぶ元婚約者を背に、私は晴れやかな空の下へと歩き出す。