あらすじ
※必ず前作【迷子のサイン】から読んでください※
何を隠そう、私は〈世界一の辰川明海ファン〉――そう自負する女子大学生。
大学の「文学研究部」で静かな読書生活を送りながら、辰川の五年ぶりのサイン会で手に入れた“為書き入りサイン本”を宝物のように持ち歩いている。
ある日の昼下がり、部室でいつものようにそのサイン本を開いた私は、ほんの数分席を外した隙に異変に気づく。
――サインはある。だが、私の名前だけが消えている。
誰も出入りしていないはずの部室。
通路を見張っていた先輩の証言。
まるで密室から“為書き”だけが消え失せたかのような不可解な状況。
これは悪戯? それとも盗難?
サインは本当に「迷子」になったのか。
日常の一瞬に起こる、ささやかで温かいミステリ。
本とサインと、ほんの少しの謎をめぐる物語。