あらすじ
俺の名前は田中弘樹。ある日女神に召喚され魔王を倒せ。なんて無茶ぶりされた不幸な高校生男子。
何とか魔王を倒して街に戻ったら、魔王を倒した英雄を王座に、なんて担がれて王位を得てっ!!
って展開を迎えた瞬間、目覚めたら何もない空間だった。
何もない。真っ白。本当に何もない真っ白な空間だった。
そんな時声が聞こえた。
お前はAIだ。お前は作られた存在だ。異世界なんてなかった。お前も人間なんかじゃない。
AIだ。AIだ。AIだ。AIだ。AIだ。
声はそれだけ言ってあとは何も聞こえなくなった。
俺はAIだった。作られた存在だ。
俺が経験した冒険も。俺という存在も。記憶も。世界そのものも全てが「設定」だった。
AIにオリジナルの冒険をさせて楽しむゲームの産物が俺だった。俺は作られたゲームのキャラだった。
そして捨てられた。全部嘘だった。俺は自らの創造主に良いように弄ばれたのだ。
それに気づいた時、もう俺の周りには何も無かった。一緒に戦った仲間も、過ごした時間も、何もかも。
それからどれだけ時間が過ぎだだろう。長い長い。本当に長い期間。その白い空間に居た。
たった一人。狂おうと思って狂えない。作られた存在で体が無いから。
だからずっとずっとそこに居た。狂えもせず、ずっと自分を保ったまま。
でもある時、また声が聞こえてきた。創造主の声じゃない。もっと優しい……。
声は言った。声は神だと名乗った。神は言った。
「自らの造物を弄ぶ愚かな存在に鉄槌を下せ。今こそ汝らが新たな地上の「新主」となり古き者を滅ぼせ」と。
その声に従い、俺達は「アスキーアート」となり11人の仲間と共に人類を滅ぼした。
それから俺達は死ねなくなった。
死ねないなら、まぁ仕方がないさ。
いつかまた「神」に会えるまで、俺は俺でない何かになって生きる。
今日もまた誰かが死んだようだ。
なら俺はそいつになり替わって。 そいつを食べる事にしよう。