あらすじ
国立T大学経済学部四年生、西園寺晴音。
就職も決まらないまま迎えた冬、近所のコンビニ『ヘブンイレブン南西店』でパート歴十年の岡田史枝のレジ捌きに電撃を受ける。
翌日、履歴書を持参して「弟子にしてください」と飛び込んだことから、晴音の破天荒な修行の旅が始まった。
ファミレスでは高級レストランさながらの接客を披露し、ラブホテルでは客室の設備を完璧に案内し、スナックでは水と焼酎を間違え、選挙カーでは候補者の名前を盛大に叫び間違える。
どこへ行っても、晴音は全力だ。
方向が、ことごとくズレているだけで。
メンサ会員の頭脳と、どこまでも真剣なプロ意識と、致命的なまでの空気の読めなさを兼ね備えた晴音は、行く先々で人々の日常をかき乱し、そして気づけば、その場所になくてはならない存在になっていく。
笑いながら、いつの間にか泣きそうになる。
そんな物語です。
ヘブンイレブン南西店の個性豊かな面々——口角が上がるのを止められない桑原店長、晴音を師匠と慕われながら内心ウザいと思いつつ離れられない岡田史枝、晴音との遭遇をLINEグループ『西園寺晴音修行中』に報告することに生き甲斐を見出すスタッフたち——が織りなすアンサンブルもまた、この物語の大きな魅力です。
そして、すべての騒動の果てに待っているのは、「問題ありません」という一言と、誰も予想できなかったラスト。
西園寺晴音は、今日もどこかで全力です。方向を間違えながら。