あらすじ
「俺の引き当てる装備はいつも外れだ」――E ランク 3 年目の最底辺探索者・朝倉ハル、22 歳。"ジンクスのハル" と業界で笑われ、家賃滞納寸前の底辺生活。雨の夜、俺はダンジョンで拾った『割れた花瓶』を捨てた。
翌朝、目を覚ますと――淡桃のショートに白磁の頬、エプロン姿のメイドが土下座していた。「お初にお目にかかります。わたくしは桜と申します。ご主人さまの、桜花瓶でございます」。捨てたはずの花瓶が擬人化した、国家管理対象の神格装備。家事、戦闘補助、配信運営、数百年分の知識ストックで完璧にこなす――が、組織にバレたら桜は強制接収される。
底辺クラン救援、掲示板で生まれた「ハル一族」、配信同接 14 人から 30 万人。対装備の双子姉妹・椿(薄エメラルドの椿刀)、大家で元組織調査官の紫苑、クラン日輪の蓮華が、隣に並ぶ。
そして特殊管理課・課長 朱羅 司。氷を削ったような完全敬語の男が、強制執行 7 日カウントダウンを宣告する。先遣隊 5 名は桜の神格本領⟨桜花咲く⟩で武装解除。続く本隊 20 名との決戦の朝、新宿西口広場、同接 121 万。⟨桜椿連環陣⟩屈折斬で全員武装解除、ハルは誰も殺さずに勝利する。配信視聴者が命名した新異名 "メイドマスター" がトレンド 1 位、同接 221 万、業界定着。
決戦の夜。桜は震える唇で、初めて二音を呼んだ。「……ハル」。数百年抑えてきた呼びかけ。信頼度 8/10。紫苑が抱える翠色の光の包み――次の家族の気配が、もう、息をしていた。
――"外れ" だらけの俺の人生は、いまや業界最強の "メイドマスター"。