あらすじ
一九八〇年四月。
建築士になる夢を抱き、ガリ勉少女・三枝薫子は念願の大学へと入学した。
待っていたのは、巨大な製図台と格闘し、徹夜で模型を作り上げる、泥臭くも情熱的な「建築家」を目指す日々。
スマホもパソコンもないこの時代。
連絡を取り合うには、勇気を出して家の固定電話にダイヤルを回すか、届くのを待つだけの手紙しかない。
効率も、スピードも、検索機能もないけれど、だからこそ、誰かを想う気持ちは、今の時代よりもずっと濃かった。
同じ学科の同級生は、ちょうど一〇〇人。
その中の、たった二人が織りなす、一〇〇分の二の確率の恋物語。
建築用語は手探り、想いを伝えるのも手探り。
不器用な二人がゆっくりと引き直す、青春の青写真(ブループロット)。
——これは、まだ何者でもなかった私たちが、未来を設計しようともがいた記録。