あらすじ
星が大好きな女子高生・藤堂 空(とうどう そら)は、流星群を見ようとして学校の屋上から足を滑らせ、あっけなく死んだ。
気がつけば、見たことのない宮廷の物置の中。
名前は夜(よる)、身分は後宮の最下層の下働き。
前世の記憶も、天文学の知識も、全部そのままで。
「ここが異世界なら、天文学ってチートになるのかな」
——なんて思っていたら、わりとそうなった。
星読みの力を認められ、皇帝直属の「夜天師(やてんし)」に任命された空。仕事は夜ごと星空を読んで、吉凶を占うこと——でも実際は、後宮で起きる不可解な事件を星の動きと知識で解いていくのが本当の役目らしい。
問題は、仕える相手の皇帝・天澄(てんちょう)が、どう見ても「長く生きすぎた人」に見えること。
美しくて、静かで、夜空を見るたびにちょっとだけ悲しそうで。
「覚えていたいんだ」と、彼はある夜、空に言った。
何を? 誰を?
空は今日も夜空を読みながら思う。
この人の隣で、ちゃんと覚えてもらえる何かになれるかな——
積み重ねた時間に疲れた人と、たった一度きりの人生を懸命に生きる私の、静かで不思議な恋の話。