あらすじ
戦乱の時代。
幼き日、人質として生きることを強いられた一人の少年がいた。
動くことを許されず、ただ“待つ”ことだけを覚えたその少年は、やがて“耐える”ことを知る。
何もできない時間の中で、彼は一つの真実に辿り着く。
――動かないことは、弱さではない。
やがて時代は動き、戦が始まる。
だが彼は、誰よりも遅く、誰よりも確実に動いた。
崩れないために。
失わないために。
しかし、その選択はすべてを救うものではなかった。
間に合わなかった命。届かなかった想い。
「待つ」だけでは、守れない。
その痛みが、男を変える。
そして――
天下を揺るがす大事件が起きる。
主を失い、すべてが敵となる中、男は決断する。
生きるために、最も危険な道を選ぶことを。
闇の中を進む逃走。
誰が敵で、誰が味方かも分からない極限の状況。
その夜、確かに何かが起きた。
だが――
そのすべてを知る者は、いない。
これは、後に天下を取る男、
徳川家康が、
“なぜ生き延びたのか”に至るまでの物語。