あらすじ

ふとしたきっかけで買った「線香」の香りに導かれ、主人公は孤独な部屋で過去の記憶を辿り始めます。 戦時中の価値観を押し付け、酒に溺れた短気な父。優しかったが今は遠い母。そして、「物事に意味なんてない、終わってみなきゃわからない」と説いた祖父。難病を患った父の介護から逃げ出した主人公は、自分の中に父と同じ弱さと病の影を見出し、強い自己嫌悪に苛まれます。 助けを求める妹すら拒絶し、衝動的に自転車を走らせて向かったのは、かつて祖父と訪れた思い出の高台でした。崩落した道で足を踏み外し、崖下へ転落して動けなくなった主人公は、手元にある全ての線香に火を灯します。 死や絶望が隣り合わせの状況で、強烈な線香の煙に包まれながら、主人公は「無意味」だと思っていた人生の地続きの果てに、皮肉にも「ひどく美しい光景」を見出すのでした。

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小説を読もう2026/05/04
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