あらすじ

新潟の小さな町から、東京の名門・白鷗学院に転校してきた結城莉子(16歳)には、昔からひとつだけ不思議な癖があった。 誰かの声が少し揺れていたり、目の奥がどこか遠くなっていたりするだけで、その人が何を抱えているのか、なんとなくわかってしまう。 人から「すごい」と言われるたび、莉子は首を傾げる。それが才能だなんて、思ったことが一度もないから。ただ、見えてしまうだけで——見たくて見ているわけじゃない。 転校初日、莉子は迷子になった廊下で、一人きりで泣いている女の子を見てしまった。 白鷗学院で一番きれいで、一番人気があって、誰もが羨む存在——天堂澪。 その日から莉子の周りに、「本当の自分」を持て余した人たちが集まりはじめる。笑顔の裏で誰かを探している人気者・神崎颯。自分の存在ごと消えようとしている傍観者・桐島藍。そして、完璧を演じることに疲れ果てた澪。 「なんで私にだけ話してくれるの?」 聞かれるたびに、莉子は答えられない。 だって莉子は、みんなのことはわかるのに——自分のことだけが、ちっともわからないから。 これは、人の気持ちを読みすぎて、自分の気持ちを読み忘れた女の子が、はじめて「私」を見つけていく物語。

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小説を読もう2026/05/04
  • 現在の作品みんなのことはわかるのに、自分のことだけがわからない